風景としての建築(外壁:ウッドロングエコ)
古い町や田舎を訪ねると、同じような外壁の素材、屋根の色、カタチ、建ち方をしていると感じることはないでしょうか。
現代は研究や科学技術が進み、どのような場所(環境)でもある程度好きな素材を選べる時代です。
そのような時代ですが、私たちは外壁材を選択するルールを明確に持っています。
私たちは適材適所で新しい建材も積極的に使用しますが、家を守る外壁材には優れた自然素材を使いたいと思っています。その中でも耐久性、コスト、味わい、風合い、メンテナンス性にも優れた焼杉は大変優れた外壁材だと考えています。
※焼杉は西日本の海沿いの町や島々の外壁に多く使用されている伝統技法です。張り方にも様々な工夫が見られます
しかし、焼杉の外壁は耐久性としては良くても、風景の中の一部としてどうなのかと正直悩む時もあります。新しい住宅街や都会のような敷地環境の場合です。
私たちは建築も当然風景の一部だと考え、その環境、土地の文脈を感じられる佇まいを目指しています。
新しく開発された住宅街や都会には、和風、洋風、陸屋根、勾配屋根、様々な形態や素材の建物が建っています。否定的な考えではなく、その状況がその場所の文脈となっていると私たちは捉えています。
そのような風景の中で黒い焼杉を使用し、周囲とはっきりとコントラストをつけることは、唐突な印象を町に与えてしまわないだろうかと。
新しい町並みにも調和し、焼杉と同じような性能を持つ外壁材とすることができるのが『ウッドロングエコ』だと考えています。
木材に浸透させると保護剤として機能しブラウンのようなグレーのような独特の色合いに変化します。木材に反応して変色するので、塗装とは違った自然の風合いそのままの仕上がりとなります。
ウッドロングエコは木材防護保持剤です。
※公共の建物などでも多く使用されてきた歴史ある防護保持剤です
ウッドロングエコを浸透させた木材が最終的には「土へ還れる」「焼却しても害をださない」という安全性も併せ持っています。(原料は酸化鉄・樹皮・ハーブ)などの天然成分が使用されていて、北欧の木こり達が代々伝えてきたという逸話もあります。
立地条件や樹種によっても反応の仕方が異なり仕上がりが一律とはなりません。これも自然素材ならではの魅力だと思うのです。
ヒフミアーキテクツでは更にこのウッドロングエコを刷毛で木材の表面だけに浸透させるだけでなく、ドブ漬け(液体に外壁材をまるごと漬ける)することで、小口や裏側にも保護剤を浸透させます。現代の建物の外壁の中は通気層が確保されており、絶えず外壁材の裏も外気と触れています。ドブ漬けとすることで裏面も保護し、更なる耐久性の向上を目指しています。
新しいものにも古いものにも調和した印象を与えるウッドロングエコの外壁。
焼杉同等の耐久性を保持しつつ、新しい現代の風景にもやさしく馴染んだものとなるはずです。
大工さんが専用の長いプールを作り、一枚一枚外壁材をウッドロングエコの液体に漬け、さらに刷毛で浸透させていっています。
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